はじめに

皆さんは歯並びは遺伝すると聞いたことはありますか?よく言われてる話だと思いますが、実際は多くの遺伝的要因が複合して歯並びに影響を与えています。また生活習慣等も大きく歯並びや骨格に影響を及ぼすことが多く、今回は私たちの歯に関わる環境がどのように作られているかご理解いただくきっかけになれば良いと思います。

歯並びと顔の骨格の遺伝

一般的に、歯並びに対する遺伝の影響は約30%程度とされており、残りの70%は生活習慣や環境要因によるものと考えられています。つまり、遺伝だけで歯並びが決まるわけではなく、日常の習慣や育つ環境が大きな役割を果たします。
一方で顔の骨格は約90%が遺伝によるとされており、親から子へと受け継がれる特徴が多いです。特に、顔の輪郭や骨の構造は遺伝的に強く引き継がれる傾向があります。

歯科における遺伝するその他の特徴

歯科的な特徴は遺伝によって多くが決定されます。歯並びに関して、遺伝が影響する部分は主に以下のようなものです。

顎の大きさと形状

顎の骨の大きさや形状は遺伝の影響を強く受けます。例えば、顎が小さい場合、歯が並ぶスペースが不足し、歯が重なり合う「叢生」が起こりやすくなります。

歯の大きさと本数

歯の大きさや本数も遺伝的要素が強いです。歯が大きい場合や本数が多い場合、顎のスペースが足りず歯並びが乱れることがあります。

骨格のバランス

上顎と下顎の成長バランスが遺伝によって影響を受けることがあります。例えば、下顎が上顎より大きく成長すると「受け口(反対咬合)」になりやすいです。

顔の骨格、歯並びに影響する環境要因

顔の骨格に影響する環境要因

1. 口呼吸

口呼吸は、顔の骨格や歯並びに大きな影響を与える要因の一つです。幼少期から口呼吸が習慣化すると、上顎が過剰に成長し、下顎が後退する「アデノイド顔貌」と呼ばれる特徴的な顔立ちを引き起こすことがあります。
鼻呼吸が妨げられることで、上顎の発育が不十分になり、顔のバランスが崩れる可能性があります。

2. 食生活

柔らかい食べ物ばかりを摂取すると、顎の発達が不十分になり、歯が並ぶスペースが狭くなることがあります。
一方、硬い食べ物を噛む習慣は、顎の筋肉や骨の発達を促進し、顔の骨格形成に良い影響を与えます。

3. 姿勢や生活習慣

猫背や頬杖をつく癖は、顎の位置や顔の骨格に影響を与え、左右非対称や噛み合わせの問題を引き起こす可能性があります。
うつ伏せ寝や片側だけで噛む癖も、顔の骨格の歪みを助長する要因となります。

4. 舌の位置と癖

舌が正しい位置(上顎)に収まっていない場合、上顎の発育が妨げられ、歯並びや顔の形に影響を与えることがあります。
舌で前歯を押す癖(舌突出癖)は、出っ歯や開咬(前歯が噛み合わない状態)を引き起こす原因となります。

歯並びに影響する環境要因

1. 指しゃぶりやおしゃぶり

幼少期に長期間指しゃぶりやおしゃぶりを続けると、前歯が突出したり、噛み合わせが悪くなる可能性があります。

2. 虫歯や乳歯の早期喪失

乳歯が虫歯や外傷で早期に抜けると、隣接する歯が移動し、永久歯が正しい位置に生えにくくなることがあります。

3. 不適切な飲み込み方

飲み込む際に舌を前に突き出す癖があると、歯並びや噛み合わせに悪影響を与えることがあります。

4. 栄養不足

成長期にカルシウムやビタミンDなどの栄養が不足すると、骨や歯の発育が妨げられる可能性があります。

まとめ

歯並びは遺伝的要因と環境的要因の両方が関与しています。親から顎の形や歯の大きさなどの特徴を受け継ぐことはありますがら生活習慣や癖によっても大きく影響を受けるため、早期のケアや適切な習慣の癖づけが重要ですり歯並びに関して心配がある場合は、是非相談にいらしてください。