はじめに

みなさん、歯列矯正において「後戻り」という言葉をご存知ですか?マウスピース矯正が行われるようになってから、今では多くの方が矯正治療に対して関心を持ち始めたように感じます。その矯正治療ですが、治療を行い綺麗に並んだ後、「後戻り」という現象が大きな問題になります。

今回はこちらのブログを通して、後戻りがどういうものなのか?防ぐにはどうした良いのかを解説していきたいと思います。

マウスピース矯正と後戻りのリスク

「後戻り」とは、矯正治療で綺麗に並んだ歯が元の位置に戻ろうとする現象を指します。これはマウスピース矯正に限らず全ての矯正治療でおきます。

歯を移動させた後、歯だけではなく歯を支える骨や、歯肉等が移動した位置に適応するまでに時間がかかるため起こります。せっかく長期間の治療を経て、綺麗に並べても元に戻ってしまっては、それまでが無駄になってしまいます。なので矯正治療後、安定するまでしっかりその位置をキープする必要があります。その時期を「保定期間」といいます。この期間でしっかり安定させることによって後戻りのリスクを減らすことができ、長期にわたって治療成果を維持できます。

リテーナーとは

綺麗に並べた歯を安定させるまでの保定期間中に歯列を固定する装置を「リテーナー」といいます。

リテーナーには主に二種類があります

大きく分けて「半永久的に固定するリテーナー」と「取り外し可能なマウスピース型のリテーナー」の二種類があります。

「半永久的に固定するリテーナー」は主に前歯等の後戻りを防ぐときに使用します。歯の裏側にワイヤー等を接着させ固定します。患者さん自身が取り外しすることはないので、自己管理する必要がありません。汚れが溜まりやすい欠点があるので丁寧なブラッシングが重要になります。

一方で、「取り外し可能なマウスピース型のリテーナー」は、マウスピース型なのでご自身で着脱可能です。食事は外すことができ、歯磨きもしやすく、マウスピースも清掃も非常に簡単です。しかし、最初の一年は食事と歯磨き以外の時間、約20〜22時間の装着が一般的なので自己管理が非常に大切になってきます。

ある程度は患者様のライフスタイルによって希望に沿った選択ができるのでぜひご相談ください。

矯正治療後のよくある質問

よくある質問として、「いつまでリテーナーはつけなきゃいけないのか?」「どうやってリテーナーを清掃すれば良いか?」などが多い印象を受けるので、矯正治療後の注意点を説明していきます。

「いつまでリテーナーはつけなきゃいけないのか?」

これに関しては意見は様々です。教科書的には矯正治療後2年、または矯正治療を行った期間と同じくらいと言われてます。ただ、その後全く後戻りをしないかと言われればそうではありません。保定期間の2年たった後も後戻りの可能性があります。また、年齢を重ねると歯を支える骨や歯肉、食べるもの、寝る姿勢、あらゆるものが変化していきますので、永遠に綺麗に並べた歯並びを維持できる訳ではありません。長期的に保つ為には夜寝るときは半永久的にリテーナーをつけることを推奨する先生もいらっしゃいます。おすすめとしましては、まずはリテーナーを矯正治療後2年間程は使用していただいて、それ以降は週に一回くらい装着してみて、キツくなったと感じた時は就寝時のみ再度使用することを推奨します。全く入らなくなってから再度来院される方もいますが、程度によっては再治療の必要があるかもしれませんので定期的な確認が大切です。

「どうやってリテーナーを清掃すれば良いか?」

リテーナー使用後は常温の水で洗浄し(できれば専用のブラシが望ましい)、専用の洗浄剤や洗浄液につけておくと清潔に保つことができます。熱湯などで消毒しようとする方もいますが、材料の性質上、劣化や変形の原因になるので控えてください。また、強くブラシ等で擦って洗うと傷がつき、かえってその傷に細菌が蓄積しやすくなるので注意してください。

長期的な維持管理におけるその他注意点

・最初の1年はいつでも着用を

先ほど説明したリテーナーの装着期間では、意見が分かれると説明しましたが、最初の一年は必ず食事と歯磨き以外の時間は20〜22時間以上装着してください。一年後以降は夜間のみ装着が一般的ですが、症例によって様々にはなりますので歯科医師の診断にしたがって装着してください。

・リテーナーの劣化の確認は定期検診で

リテーナーは材料の性質上、経年的に劣化や変形、場合によっては破損も起こり得ます。交換が必要な場合もあるので、ぜひ定期検診を受診し、その際にリテーナーを持参していただき確認させてください。

・歯磨きは徹底して

ワイヤー等の固定型のリテーナーにおいて気をつけて歯磨きをすることはもちろんですが、マウスピースのリテーナーにおいても同様に徹底したブラッシング、フロスの仕様が重要です。

虫歯予防の観点としても重要ですが、矯正治療後あげられる最悪なケースの1つとして、歯周病で支えてる組織が炎症を起こし、歯が動いてしまった、または動きやすい状況になっているものを強引に保定装置を装着して固定してしまっているケースがあります。

この場合、より歯に負担をかけてしまったりして危険です。虫歯、歯周病のチェックや歯ブラシでは落とせない歯石等の汚れを落とすためにも定期検診を受診し、健康な歯と歯茎を維持することも綺麗な歯並びを保つことにおいても重要です。

・自己管理

しつこいようですが、マウスピース型のリテーナーは自己管理がとにかく大切です。日々のブラッシング同様、ここに関しては歯科医が介入できない部分になります。装着するのを忘れやすい方は携帯のアラームやタイムスケジュール等を活用することもお勧めします。

まとめ

いくつかのブログでも申し上げているのですが、矯正治療も虫歯治療や歯周病治療と同様にセルフケアと定期検診がとにかく大切になってきます。一緒に頑張って綺麗な歯並びを維持していきましょう。

当院では矯正治療でお悩みの方へ無料相談も行っています。お困りのことや疑問、なんでも対応させていただきますので是非一度ご相談ください。