歯周病の状態によって治療法は様々ですので、今回は基本的な歯周病治療の流れにそって説明していきます。保険診療で歯周病治療のみを行っていく場合3割負担の方は、まず初診料と歯茎の状態を診る検査等で3000円、その後、歯の表面についた歯石やバイオフィルムと呼ばれる最近の塊を取るスケーリング、プラークや汚れを取るポリンシングが1000円、その後歯周病が改善しているか再検査で状況にもよりますが1000円ほどかかります。再検査後、歯周ポケットの内側の歯石や歯の根っこの表面の汚れを綺麗にするルートプレーニングを検査値が改善されていない箇所に行うので、本数にもよりますが5000円〜10000円ほどかかります。最後に再検査で1000円くらいかかります。ここまでが基本的な歯周病の治療の流れと料金の目安となります。
ここまで治療を行い改善されない場合は外科手術が必要になる場合があります。状態によっては、大学病院等への紹介になる場合がありますので料金の詳細は控えさせていただきます。
その後の定期健診などは清掃状態によってですが1〜3ヶ月に一度の来院で3000円程かかります。
歯周病とは?
歯周病とは、細菌感染によって歯を支えている歯茎や骨が溶けてしまう病気です。歯と歯茎の間の歯周ポケットがうまく掃除できずにいると、歯周ポケット内に細菌が留まり炎症を起こし、歯茎が赤く腫れたりしますが痛みはほとんどありません。痛みがないので自覚がないまま進行していき、徐々にポケットが深くなり汚れが溜まって行くと汚れが固まり、歯ブラシでは取れない歯石となってしまいます。さらに食べかすが溜まりやすい状態が続くと歯石がどんどん大きくなりその内部にいる細菌が歯周病を進行させる毒素を出し続けます。さらに進行すると歯を支えている骨まで進行すると骨を溶かし気づいた時には支えてる骨がなくなり歯が揺れ始め、のちに抜けてしまいます。
歯周病かどうかを判断するには?
レントゲン撮影、歯周ポケット検査、動揺、歯石の付着、歯茎からの出血の有無などから総合的に判断します。
歯周病治療における費用の相場と治療期間
費用に関しては上述した保険治療の流れ通りになります。治療期間に関しては明確な答えはなく、進行具合によって治療の間隔は違うものの、歯周病は改善されたとしても、歯石や細菌は歯ブラシでは落としきれないので、改善後もメンテナンスとして3ヶ月に一回程度の来院を推奨しています。歯周病は進行しても自覚症状がほとんどないため、まだまだ日本では受け入れにくいところではありますが、美容院のような感覚で定期的に歯を綺麗にしてほしいと思っています。
一般的な歯周病の治療方法
まず口腔内全体の検査をします。歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯が動揺してないか、プラーク(歯垢)歯石の付着がないか検査します。その後、スケーリングと呼ばれるお掃除で歯茎の上のプラークや歯石を落とし、全体を歯科専用のブラシで磨きます。検査やクリーニング中に口腔内をしっかり確認し、磨き残しが多い箇所等がある場合は、患者様自身が行う歯磨きをよりよくするために、ブラッシング指導やフロスの使い方などを指導させていただきます。ある程度経過をみる期間を設けて再度検査します。改善されていたらメンテナンスをしていきます。改善されていない場合はルートプレーニングを行います。ルートプレーニングは歯茎より下のいわゆる歯周ポケットの内部を専用の器具を使って掃除し、歯石や歯垢、歯の表面に付着しているバイオフィルムと呼ばれる細菌の塊を除去し歯の表面を滑らかにします。スケーリング後と同様、再度経過観察し再検査を行い、改善されているならメンテナンスに移行します。改善されていない場合は、再度ルートプレーニングを行います。それでも改善されない場合は外科手術を行う場合があります。
歯周病にならないための予防法
「Floss or Die」皆さんはこの言葉をご存知でしょうか?フロスをするか死ぬかという一見極端な言葉に思えるかも知れませんが、これはアメリカ歯周病学会が発表したキャッチコピーです。日々の歯ブラシによるブラッシングはもちろん大事ですが、歯ブラシだけでは約60%ほどしか歯垢は除去できません。歯の表面は唾液などの自浄作用によって歯と歯の間以外はあまり歯垢は停滞しません。残ってしまう歯垢のほとんどは歯と歯の間に存在します。フロスや歯間ブラシなどの歯と歯の間を磨いてあげる清掃用具を併用することで格段に歯垢除去率が上がります(約85%〜95%)。最初は歯間清掃用具を使う習慣をつける事が大変だとは思いますが慣れてくると簡単なので、ぜひ実践してみてください。
まとめ
日本人の成人のうち80%は歯周病になっていると言われています。歯周病は痛みを伴わないことがほとんどですし、虫歯がなくても歯周病が進行している方もいらっしゃいます。検査することで初期の段階で発見することが何よりも重要です。また歯周病が進行していた場合複数回にわたる歯周病治療を行います。症状の改善も自覚し辛いため途中で行かなくなる人も少なくありません。そうすると改善してきた口腔内も再度歯周病が進行していきます。私たちもしっかり検査値や患者様自身の口腔内写真等を使って経過を説明いたしますので一緒に健康な口腔内にしていきましょう。また予防するためには日々のブラッシングが必要不可欠です。意識するポイントはもちろんですが、ブラッシングに関しての質問なども対応させていただきますのでなんでも聞いてください。