歯科医院に行くことを考えただけで動悸がしたり、予約を何度もキャンセルしてしまったりする方がいらっしゃいます。これは単なる苦手意識ではなく、歯科恐怖症と呼ばれる状態かもしれません。治療の必要性は理解していても、どうしても足が向かない、診察室に入れないという悩みを抱えている方は決して少なくありません。
歯科恐怖症は、歯科治療に対して極度の不安や恐怖を感じる状態を指します。普通の緊張とは異なり、治療を受けることが困難になるほど強い恐怖心が生じるのが特徴です。診察室の独特な匂い、器具の音、治療椅子に座ること自体が耐え難い苦痛となり、結果として必要な治療を先延ばしにしてしまいます。
この恐怖の背景には、幼少期の痛みを伴う治療体験や、無理やり押さえつけられた記憶などが影響していることがあります。また、周囲から聞いた怖い話や、メディアで見た映像が恐怖心を植え付けてしまうこともあります。一度強い恐怖を感じると、その記憶が脳に刻まれ、次回以降も同じような反応が起こりやすくなります。

歯科医院の待合室に入っただけで冷や汗が出る、予約日が近づくと眠れなくなる、治療中にパニック発作を起こしてしまうといった症状が現れる方もいらっしゃいます。こうした反応は本人の意思でコントロールできるものではなく、適切な対応が必要となります。
歯科治療を避け続けることで、口腔内の状態は徐々に悪化していきます。初期の虫歯であれば簡単な処置で済むものが、放置することで神経まで達してしまい、より複雑で時間のかかる治療が必要になります。また、歯周病が進行すると歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯を失う可能性も高まります。
口腔内のトラブルは全身の健康にも影響を及ぼします。虫歯や歯周病による細菌が血流に乗って体内を巡り、心臓病や糖尿病のリスクを高めることが知られています。また、噛み合わせの問題は頭痛や肩こり、顎関節症の原因となることもあります。
さらに、歯の痛みや口臭、見た目の変化は、日常生活における自信の喪失につながります。人前で笑えない、食事を楽しめない、会話に集中できないといった悩みは、社会生活や対人関係にも影を落とします。仕事や学業のパフォーマンスが低下したり、外出を控えるようになったりする方もいらっしゃいます。
当院では、歯科治療に強い不安を感じる患者様に対して、段階的な対応を心がけています。無理なく、安心して治療を受けていただけるようサポートいたします。

初回は治療を行わず、ゆっくりとお話を伺うことからスタート。
恐怖を感じる場面や過去の経験を共有していただくことで、一人ひとりに合わせた対応が可能になります。
治療の各工程を事前にわかりやすく説明。
実際に使用する器具をお見せすることで、「何をされるか分からない不安」を軽減します。
治療中は「手を挙げればいつでも中断できる」ことをお伝えし、患者様が主導権を持てる環境を整えています。
・表面麻酔を使用してから注射
・極細の針を使用
・麻酔液を体温に近い温度に温める
これらの工夫により、不快感を最小限に抑えた治療を提供します。痛みの少ない体験が、次回以降の通院へのハードルを下げるきっかけになります。
診察室の照明を調整
深呼吸や筋弛緩法などの簡単なリラクゼーション技法もご紹介
可能な範囲で、患者様の希望に応じた対応を行います。
点滴から鎮静薬を投与し、ウトウトとした状態で治療を受けられます。
意識は保たれていますが、不安や恐怖が大幅に軽減され、治療中の記憶もほとんど残りません。
これまで治療を受けられなかった方でも、無理なく処置を進めることが可能です。
歯科恐怖症の克服には時間がかかりますが、少しずつ前進することが大切です。
無理なく、自分のペースで進めていきましょう。

勇気を出して、最初の一歩は予約の電話から。
電話の際に「歯科が怖い」と伝えていただければ、受付スタッフが配慮して対応します。
治療は無理に進めません。
診察室の雰囲気に慣れること、スタッフと顔を合わせることが大切な第一歩です。
例:歯のクリーニングや軽い虫歯治療など
短時間で終わる処置を体験することで →「思ったより怖くなかった」という成功体験が得られます。
恐怖と向き合い、治療を受けられたことは大きな進歩です。
家族や友人に話すことで、気持ちの整理にもつながります。
歯科治療への恐怖で悩んでいる方を全力でサポートします。
通えなかった方、途中でやめてしまった方も、安心してご相談ください。
まずはお話を伺うところからスタート。
一人ひとりの状況に寄り添いながら、無理のない治療計画を一緒に考えていきます。
口腔内の健康を取り戻し、笑顔で過ごせる日々を一緒に目指しましょう。